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消防の教科書~火災における消防力について~

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消防の教科書~火災における消防力について~

 

 

みなさんこんにちは、健二です。

 

前回は「放水器具と注水について」前々回は「消火活動の基本・目標」について書いていきましたが今回は「消防力」について触れていきたいと思います。

 

 

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消防力の二つの意味

 

 

消防力とは自治体の規模や災害に対して消防の人員・資機材・環境などをトータルで考えた消防の能力値を示す消防の専門用語です。

 

自治体の規模に対する消防力

 

 

自治体の規模に対しての消防力は主にその自治体の消防本部の「人員」「消防署・分署・出張所の数と位置」「消防車・救急車の保有台数」について示すことが多いです。

 

各消防本部の消防力は自治体の規模に適正になるように調整されているため基本的に自治体の規模に対して消防力が劣勢になることはないでしょう。

 

つまり

自治体の規模≦消防力

という状態が基本的に維持されていることになります。

 

そのため自治体に適した消防力にするため大幅な人口の増減や開発、市町村・消防本部の合併などが起こると消防力を調整するための委員会が発足され、その委員会で消防署や分署・出張所の移設や人員調整等の計画が立てられます。

 

 

住民の安心や安全のために消防力をより強く!

 

という考えもありますが消防力の増強や維持にはかなりのお金(税金)がかかります(人件費や庁舎・車両の更新、維持管理費等)。

 

なので消防本部の消防力は市町村の規模に対して適正であるように保たれています。

 

 

 

災害現場での消防力

 

 

次に災害現場での消防力です。

 

災害現場での消防力は実際の災害の規模や災害現場の状況(環境)とその災害の防ぎょ等にあったっている部隊(人員・車両)とを比較したものとなります。

 

こちらは自治体の規模に対する消防力と比較して優劣がはっきりと表れます。

 

一般住宅の建物火災の対応でも延焼危険の少ない建物で早急に消防隊が現場到着できれば消防力は優勢であることが多いと思われますが、

それに対して住宅密集地で発生した火災で通報が遅れてしまい、多くの建物に延焼している状態で消防隊が現場到着すればそれは消防力が劣勢だといえるでしょう。

 

また、災害の規模だけでなく状況や環境も消防力の優劣に関わってきます(発生場所...道路等(2次災害の危険)、住宅密集地(延焼危険) 気候...強風(延焼危険)、酷暑(隊員の熱中症リスク)等)。

 

 

火災における消防力

 

ここまでは大まかな消防力についての説明でしたが、ここからは火災における消防力について現場での活動のセオリーと合わせて説明していきたいと思います。

 

 

火災現場では筒先の数で消防力が決まる

 

火災現場での消防力は筒先の口数で決まります。

 

当たり前ですが消火活動をするには放水をする必要がありまするのでポンプ車からホースを伸ばして放水のできる筒先を確保しなければなりません。

 

また、消防職員は筒先1口で対応できる火勢や範囲を予測して、鎮圧・鎮火をするために必要な筒先の口数が想像できなければならないといえるでしょう。

 

 

筒先の部署位置

 

 

基本的に木造や防火構造の建物火災では屋外か屋内にから放水することになります。

 

 

屋外では延焼阻止目的で1口10~20m程の面を防御することができます。

一般住宅の1棟の建物火災(中期程度)であれば、通常4口で建物の四方を包囲することができますが延焼等を想定すると6~7口は確保しておいた方が良いでしょう。

※戦術によって必要な口数は変わります(一方向戦術等)。

※警戒や援護筒先も含めて口数とします。

 

 

屋内からの放水は火点を直接攻撃できるなどのメリットがありますが、屋外からの放水に比べて防御範囲が極端に狭くなります。

1口で1~2部屋で限界と考えて良いでしょう。

 

 

火災への注水時のリスク

 

 

火災に対して放水は必要な活動ではありますがリスクもあります。

代表的なリスクを2つ挙げると、

 

・水損リスク

・隊員の受傷リスク

 

があります。

 

水損リスクはそのままですが水によって住民の大切な財産に損害が出てしまいます。

そのため不必要な放水は避け、ノズルのシャットをこまめにするようにしましょう。

 

2つ目の隊員の受傷リスクですが、耐火構造等の開口部が少ない室内で燃焼実態に放水すると急激に空気が膨張して高温水蒸気が室内に充満したり、不必要に噴霧注水をすると気流を生んで室内上部に溜まっている煙をかき乱して視界を失う要因になります。

※水蒸気や空気は上部に行くほど高温になるので必ず低い姿勢で活動をしましょう。

※気流を乱してしまうと煙だけでなく高温の空気(水蒸気)も一緒に降りてくるので、視界が無い状態で体が蒸されます。注意しましょう(私は現場で経験しました)。

 

そのため屋内進入時に放水をする場合は建物や煙、上部の温度などの状況を理解して不必要な放水はせずに低い姿勢で活動する必要があるんです(基本ですね!)。

 

 

火災における消防力の優劣

 

火災では消防力の優劣によって活動方針を変えていかなければなりません。ここで消防力が劣勢の時から優勢の時の順に活動方針のセオリーを紹介したいと思います。

 

 

【消防力劣勢=防御】

現場活動の初動時や火勢が圧倒的に強いなど消防力が劣勢の時は延焼危険も大きく火勢も拡大しやすいので、屋外で安全距離を確保して守備範囲を広く構えれ延焼拡大の阻止を第一に考えて活動をしなければなりません。

 

【消防力優勢=攻撃】

火災初期や後着隊の現場到着等により消防力が整った時や火勢より消防力が上回っている時は、積極的に屋内進入して燃焼実態に注水し、一挙賃滅を図ります。

 

 

消防力の優劣によってかさいに対して防御的な戦術か攻撃的な戦術に変わるということですね。

 

この場合どちらにも共通して言えるのがその状況で被害を最小限にできる戦術ということです。

 

消防力が劣勢の時には延焼危険だけでなく建物が倒壊する可能性も大きいので屋内進入ができません。

反対に消防力が優勢の時に屋内進入せずにずっと屋外から放水をしているだけでは有効注水ができずにむしろ火勢を拡大させてしまいます。

 

 

つまり一番大事なのは現場の状態を冷静に判断して状況にあった戦術で活動するということなのです。

 

どんな現場であれ平常心を保ち冷静な判断ができるようにしましょう!