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〔コンプリート版〕消防法第4条 消防職員の立入検査について解説

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消防職員の予防業務のメイン「立入検査」

 

 

こんにちは、予防担当の健二です。

 

 

今回の表題は「立入検査」ということで、立入検査に関する条文消防法第4条についてお話していきたいと思います。

 

 

立入検査について書かれている条文はほかにもありますが消防法第4条は消防職員が行う立入検査に伴う権利と義務が書かれています。

 

 

事業所の関係者に対して防火管理等における是正指導や違反処理を目的とする立入検査を行う消防職員として、しなければならない義務や行使できる権利は覚えておかないといけません!

 

 

検査を行う上で一番重要なところなのでしっかりと覚えておきましょう!

 

 

 

 

 

目次

  1. 条文

  2. 立入検査権

  3. 質問権

  4. 資料提出命令権・報告徴収権

  5. まとめ

 

 

 

 

1.条文

 

〔資料提出命令、報告の徴収及び消防職員の立入検査〕

第4条 消防長又は消防署長は、火災予防のために必要があるときは、関係者に対して資料の提出を命じ、若しくは報告を求め、又は当該消防職員(消防本部を置かない市町村においては、当該市町村の消防事務に従事する職員又は常勤の消防団員。第五条の三第二項を除き、以下同じ。)にあらゆる仕事場、工場若しくは公衆の出入する場所その他の関係のある場所に立ち入つて、消防対象物の位置、構造、設備及び管理の状況を検査させ、若しくは関係のある者に質問させることができる。ただし、個人の住居は、関係者の承諾を得た場合又は火災発生のおそれが著しく大であるため、特に緊急の必要がある場合でなければ、立ち入らせてはならない。
 
 消防職員は、前項の規定により関係のある場所に立ち入る場合においては、市町村長の定める証票を携帯し、関係のある者の請求があるときは、これを示さなければならない。
 
 消防職員は、第一項の規定により関係のある場所に立ち入る場合においては、関係者の業務をみだりに妨害してはならない。
 
 消防職員は、第一項の規定により関係のある場所に立ち入つて検査又は質問を行つた場合に知り得た関係者の秘密をみだりに他に漏らしてはならない。

 

 

 

こちらが消防法第4条の条文になります。

 

 

おおまかに第1項には「立入検査権」「質問権」「資料提出命令権・報告徴収権」について書いてあり、ただし書きで個人の住居への立入の制限が書いてあります。

 

 

第2項には関係のある者から請求を受けた際の「証票の提示の義務」

 

第3項には立入検査時の「業務妨害の回避」

 

第4項には検査において知り得た秘密の「守秘義務」

 

についてそれぞれ書かれています。

 

 

 

 

2.立入検査権

 

「立入検査権」とは文字通り立入検査をする権利のことです。

 

ではその立入検査権はだれがそのような権限を持っていてどのようなものが対象なのか要点をまとめてみましょう。

 

 

⑴権限を有する者…「消防長又は消防署長」

 

 

⑵主体(執行者)…「消防職員」

 

 

⑶立入検査の要件

「火災予防のために必要があるとき」

 

 

⑷立入検査の対象

「あらゆる仕事場、工場若しくは公衆の出入りする場所その他関係のある場所」

 

 

⑸立入検査の時間的制限と通告

法的には必要としない

 

 

 

立入検査の権限を持っているのは「消防長又は消防署長」で「消防職員」は指示によって検査・指導を実施しているのですね。

 

 

⑴立入検査の要件

 

「火災予防のために必要があるとき」とされています。

 

立入検査の対象はいわゆる防火対象物ですが実は個人の住居もこちらに含まれます。

 

個人の住居への立ち入りも可能

 

憲法第35条住居の不可侵によって立入は制限されていますが以下の3点のうちいずれかの条件を満たせば立ち入り可能になります。

※個人専用住宅、共同住宅の居室等

 

・関係者の承諾を得た場合

・火災発生の虞が著しく大である場合

・特に緊急の必要がある場合

 

延焼の可能性や人死傷するという公共性がある火災現場などの場面で使用することが多いでしょう。

 

 

⑵証票の提示

 

第2項にあるように消防職員が関係のある場所に立入検査を行う場合は、関係のある者から請求があったときは、証票を示さなければならないとされています。

 

「関係のある者」とは消防法では主に「所有者」「管理者」「占有者」のことをいいますが、ここでは「関係者又はその代理人、使用人そのたの従業員等」と幅が広くなっています。

 

「証票」とは一般的に消防長又は消防署長名で発行された「立入検査証」と呼ばれるものでしょう。

私は消防手帳の中に入れてあります。

 

 

ちなみに、証票提示の請求があった場合に、消防職員が証票を提示しないときは、正当な権限行使とみなされないとされています。

 

なので検査の際は証票を忘れないようにしましょう!

 

 

 

⑶業務への配慮

 

第3項に書かれている「みだりに」とは、「正当な理由をなくして」の意であって、関係者の業務をみだりに妨害してはなりません。

 

特に緊急に確認する必要がないにもかかわらず、立ち合い者に確認せずに作業中の従業員等に質問を繰り返し行ったり、直接検査等に関係のない質問や行為を繰り返し行うことは業務の妨害になりますのでしないようにしましょう。

 

 

 

⑷検査等により知り得た情報の守秘義務

 

第4項にあるように検査等により知り得た防火対象物の情報は、みだりに他に漏らしてはいけません。

しかし次の場合には「正当な理由がある」と考えられます。

 

・職務上必要な事項として、上司に報告する場合

・通知書の内容について、他の公的機関から法令根拠に基づいて紹介を受け、回答する場合

※弁護士会、捜査機関などから法律の規定に基づく紹介があった場合は客観的事実のみを回答する。

・捜査機関に対し告発する場合

・情報公開請求があり、情報公開条例に基づき、妥当性を有するものとして公開する場合

 

 

 

 

3.質問権

 

消防職員の質問権については、一種の事実行為であるため法的な効果もなく、強制力もありません。

したがって、消防職員が火災予防上必要があるということから質問をしたとしても、関係者は必ず答弁する必要はないとされています。

また、回答を拒否してもそれを強要できず、罰則の適用もありません。

 

よく聞く黙秘権と似てますね。

 

また、立入検査及びその後の指導での電話等で関係者に情報を口頭で質問して拒否された場合も強制的に聴取することはできません。

 

 

 

 

4.資料提出命令権・報告徴収権

 

資料提出命令権・報告徴収権は消防対象ぶちの構造等の実態把握や違反事実の特定などに資料や報告をひつようとする場合に行使します。

 

 

資料提出命令で求める資料は、火災予防上消防対象物の実態を把握するために役立つ一切の文書図面のうち、資料として既に作成若しくは作成される予定のもの又は、法令により資料の作成が義務づけられているものです。

 

  

資料提出命令で求める資料の例として

 

・消防法令上の各種届出書

・消防用設備等の維持管理に関する委託契約書

・建物の図面等

・その他消防対象物の実態を把握するのに必要な書類

 

などがあります。

 

 

資料提出命令では以上のものが請求できますがそれ以外の必要な情報で資料として現存していないもの報告徴収権で求めることができます。

 

 

報告徴収権で求める資料の例

 

・危険物の1日の使用量

・未確認増築部分の図面並びに面積算定結果

・管理権原者の氏名

・その他防火対象物の実態を把握するために必要な事項

 

 

 

 

5.まとめ

 

今回は消防法第4条〔消防職員の立入検査〕についてお話をしていきました。

 

違反対象物等に指導をしに行く際にはこちら側の権利をしっかり把握して有効に使わないと是正につながらないことはないと思いますが、消防の信頼に関わります。

  

しっかりと勉強して完璧な査察を行いましょう!